近年頻発する風災や震災直後の映像では、瓦が剥がれて被災している屋根をよく見かけます。
その屋根をよく見てみると、屋根上に剥がれた瓦のほかに土のようなものが流出していることが多いです。
これは、ひと昔前までスタンダードだった土葺き工法によって造られた屋根の劣化による被災がほとんどです。
土葺き工法とは、屋根全面に土を敷き詰めることで建物を重くして安定させることを目的とした工法です。
葺き土には、屋根瓦を接着して風で飛ばないようにしたり、雨水を吸収したり、断熱効果の役割もありましたが、現在では耐震力や耐風力が問題視され、土葺き工法で屋根を葺くことはほぼなくなりました。
衰退したきっかけは関東大震災と言われています。
関東大震災により多くの家が倒壊し、その復興後には関東地区では土葺き屋根を見かけることがなくなったそうです。
ただ、全国でも比較的地震が少なかった関西地方では、今でも土葺き工法で造られた屋根を多く見かけます。
近年頻発する台風によって被災している屋根のほとんどはこの土葺き屋根です。