池田市 漆喰劣化による瓦屋根の損傷と補修工事

今回は池田市にお住いの方から、強風で瓦屋根の瓦が複数枚地面に落下してしまったとの事でお問い合わせいただき、調査に伺いました。

瓦屋根の屋根面が接合して稜線をなしている部分を棟(むね)といい、更に屋根の四隅に向かって下る棟を隅棟(すみむね)といいます。

瓦屋根の中でも棟は、他の部分より豪雨や台風などでダメージを受けやすく、瓦を接合している漆喰の劣化が比較的早くなるため、補修工事のご依頼が1番多い場所です。

調査を行ったところ、落下した瓦はこの隅棟部分の瓦でした。

補修工事として隅棟の取り直し工事をご提案し、工事のご依頼をいただきました。

隅棟の取り直し工事を行いました

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強風で損傷した隅棟
隅棟の瓦が連続して剥がれている状態でした。

築数十年経っている場合、瓦屋根の瓦の下には瓦が滑り落ちないように葺き土という土が敷き詰められています。

経年劣化した葺き土や漆喰は、外気の攻撃に十分に耐えることが出来ないため、悪天候時にはこのように瓦が剥がれ、その下の瓦もグラついて崩壊してしまいます。
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after
取り直し工事完了した隅棟
隅棟の取り直し工事完了しました。

現在では耐震強度を高めるため、棟の内部に葺き土を敷き詰めず、芯となる木材を設置し、改良されたなんばん漆喰で瓦を固定します。

屋根下地と緊結し、とても頑丈でスッキリした棟に仕上がりました。

施工過程

損傷した隅棟取り直し工事施工過程をご紹介します。
葺き土清掃作業
棟全体の構造を、防災対策を兼ねた新しいガイドラインに沿った構造に切り替えるため、残っている瓦を全て剥がします。

葺き土も綺麗に手作業で清掃します。
瓦屋根の垂木設置作業
棟の芯材となる垂木を設置します。
屋根下地と垂木を緊結する補強金具
垂木は専用の補強金具で屋根下地である野地板に固定します。
なんばん漆喰施工作業
固定した垂木と屋根面の瓦の隙間を埋めるように、なんばん漆喰を施工していきます。
隅棟に施工されたなんばん漆喰
特殊なシリコンや防水材が配合されたなんばん漆喰は、防水性が非常に高く、雨水の侵入を遮断するため、棟の経年劣化を防ぐことが出来ます。
専用ビスで固定された冠瓦
仕上げに防水性の高いパッキン付きビスで冠瓦を固定します。

複数段積まれていた瓦を撤去し冠瓦のみで仕上げることで、屋根の軽量化にも繋がり、災害時の棟の崩壊を防ぎます。

この記事の最初のアフター写真が、隅棟取り直し工事の完成になります。